レッツ代表久保田のブログ「あなたの、ありまままがいい」

最近大変な事件が起こっている。
引きこもり（といわれる）の男性が通学バス停を襲って多くの人々を殺傷し、自らも命を絶った。
引きこもっている40代の息子を人様に迷惑をかけない、傷つけないために父親が殺害した。

そしてこの事件を「明日は我が身」と感じた人たちも多くいる。

今100万人の引きこもっている人々がいるそうだ。
何をもって引きこもりというのかははっきりはしないが、社会とのかかわりが希薄になっている人が多くいる。
そしてその人たちが、最後の、唯一のよりどころとしているのが「家族」なのだと思う。

たけしの介護をしていてつくづく思うことは、介護も、子育ても、療育も結局、「家族」に頼って来る。
つまり「家族で何とかする」ことが暗黙のルールとしてある。

「人に迷惑をかけるな」と我々は教えられてきた。
人に迷惑をかけることを極度に嫌う社会の中で、その迷惑は家族で何とかしないといけなくなる。

新聞、報道は、こうなる前に「声を上げる」「誰かに頼る」べきだったという。
しかし、声を上げる、頼るという行為にどれだけのハードルがあるか。
それは日本人にはとても難しい行為だ。
とてもじゃないけれど元気な人しか声なんか上げることはできない。
追い込まれている人はそんな力など残っていない。
ますます家族に引きこもっていく。

家族には愛がある。何とかしてやりたい、助けてあげたい。
しかしその思いが逆に、「家族で何とか出来る」「何とかする」というループに陥ってしまう。
ますます社会から距離を置くことになってしまう。

こうした事件が起こると、子どもたちの送迎バスに見守りをつけるとか、通学路を点検するとか。そんなことばかりが報道される。
あほじゃないか。
何の解決になるというのだろう。
監視を強めればますます社会は硬直化していく。

我々の今の社会のこの硬さを少しでも柔らかくしていくことなのだ。
福祉関係者に押し付けるのではなく、誰かが何とかしてしてくれるのではなく、一人一人が考えないといけないことだ。

人に迷惑をかけてはいけないと育った社会がこうなのだから。
人に迷惑をかけてもいい。大丈夫。だってお互い様じゃん。と思える社会に作り替えていかないと。

しかし、それはある意味簡単だと思う。

ダメを良しととすること。
高みを目指すことばかりに目的を置かないこと。
弱くなる自分を認めること、頑張らないこと。
頑張る人はいてもいい。でもうらやましいと思わないこと。
あきらめること
そして気楽に出ていくこと。

出ていった先に、サードプレイスがあることが重要だ。
家族ではない、職場でもない、居場所の必要性。それも頑張らなくても安心していることができる場所。

レッツがつくってきたたけし文化センターやアルス・ノヴァやのヴぁ公民館はそんな場所だ。
すべての人のサードプレイスにはなれないけれど、ここを好きだと思える人、安心して居ることができると感じる人にとっては、そうした場所になる。
これはそんなに難しいことではない。誰だって、サードプレイスをつくることができる。
自分がいやすい場所をつくり、そこをちょこっと開放すればいいのだ。

世の中は、こうしたことは福祉が作ってくれるような錯覚がある。
しかし、福祉だけではそんなに作れない。面白くもあまりならない。

こうした場所をつくることにもっと知恵を出し合うべきだ。
防犯を考えるのではなく、いかに解放していくか。
よりどころをつくっていくのか。
犯人を「引きこもりだ」とつるし上げるのではなく。
もっと真理を見ていかないと。

令和という時代が、昭和や平成が求めた効率主義、経済至上主義の社会づくりから真剣に転換できるといい。
もうそうしないと、社会というより、人々がもたなくなっていると感じている。